海洋生物の調査研究活動について

沖縄美ら海水族館では、沖縄周辺にみられる熱帯・亜熱帯性の海洋生物の多様性研究や、生理学・生態学的特性を研究することにより、自然環境の保全と持続可能な利用に寄与する活動を行っています。

 

2024年

サメの人工子宮の小型化に成功―早産胎仔の長距離搬送が可能に

 

今回、新たに作成した「小型」人工子宮装置の全容


育成中の深海ザメ(ヒレタカフジクジラ)の胎仔

沖縄美ら海水族館では、2017年より早産胎仔の救命を目的としたサメの人工子宮装置の開発を進めてきました。今回、設計の大幅な見直しによりサイズを過去の装置の20分の1まで小型化することに成功しました。この改良により、これまで人力での移動が難しかったサメの人工子宮が船舶や自動車などに積載可能になりました。この技術は、水族館から遠く離れた場所で回収した早産胎仔を安全に搬送する技術の確立に寄与すると考えられます。

【著者名】
冨田武照、金子篤史、戸田実、諸田大海、村雲清美、佐藤圭一 (一般財団法人沖縄美ら島財団)
【論文題名】
Portable-size artificial uterine system for viviparous shark embryos (胎生サメ類のための、小型人工子宮装置の開発)
【雑誌名】MethodsX
【掲載日】2024年11月17日(電子版)
【論文リンク】https://doi.org/10.1016/j.mex.2024.103063

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ハワイの研究組織と共同でオキゴンドウの調査研究を実施しています!

 

沖縄美ら海水族館のオキゴンドウと調査実施の様子①


沖縄美ら海水族館のオキゴンドウと調査実施の様子②

沖縄美ら海水族館では、オキゴンドウやミナミハンドウイルカ、シワハイルカなどのハクジラ類を数種類飼育しており、野生個体の保全に必要な情報の収集や生態を理解するため、飼育下での調査研究の実施にも力を入れています。
 現在は、ハワイの研究機関等とも協力してオキゴンドウの調査研究を実施しています。実は、ハワイの一部海域に生息するオキゴンドウの個体群は、現在絶滅危惧に指定されており、135頭程しか確認されていません。そこで、この個体群の保全を計画するため、現地では、ドローンを使った体長、身幅の推定による健康状態の把握や、漁具による混獲防止対策などの調査研究の実施が急がれています。
  沖縄美ら海水族館では、ハワイのオキゴンドウ研究チームと協力し、水族館でオキゴンドウの正確な体長、身幅を計測し、その後ドローンを使って、同じ個体の体長を測定することで、ドローンによる体長測定の実測値との誤差を把握し、野生個体のデータ補正に必要な情報を収集しています。また、血液や呼気を利用して、オキゴンドウの代謝率等を測定する調査も開始しています。
  このように、野生下では収集が難しいデータや行動観察を飼育下の個体を対象に収集することで、野生下の個体の保全に役立てることを目指し、今後も国内外の研究者と協力して飼育下での調査研究にも力を入れていきたいと考えています。

 

全長13mのジンベエザメ!ガラパゴス諸島で国際共同研究調査に参加しました!

 

 ジンベエザメ(Rhincodon typus)は、北極海と南極海を除くすべての海洋に生息し、世界中のさまざまな場所で観察されています。これらの出現は通常、豊富な餌の存在と深く関連していることが分かっています。しかし、ガラパゴス諸島最北端のダーウィン島では、ジンベエザメの出現が6~10月に集中しており、ここでは餌の増加とは明らかに関連していません。さらに、ガラパゴス諸島で観察されるジンベエザメの大部分は全長10mを超える巨大な雌であり、この大きさと性別の偏りはガラパゴス諸島特有のものです。これらの中には腹部が大きく盛り上がっている個体も多く観察されており、妊娠の可能性が示唆されています。このため、ガラパゴス諸島はジンベエザメの繁殖生態を解明するうえで非常に重要な海域として、世界中の研究者に注目されています。
 沖縄美ら島財団では、2017年から、ジンベエザメの生態を科学的に理解し、保全に向けた取り組みを目的とした国際的な調査団体「Galapagos Whale Shark Project」に参加しています。当財団は、沖縄美ら海水族館におけるジンベエザメの健康管理で培った水中での超音波画像診断(エコー)や採血技術を通じて、本種の繁殖生理の解明を支援しています。今年6月に実施された調査では、全長10~13mの12個体のジンベエザメと遭遇し、6個体から超音波画像を、5個体から血液サンプルを取得することに成功しました。採取した血液サンプルは、CITES(ワシントン条約)による輸出入許可が下りるまで、サンフランシスコ・キト大学(エクアドル)で凍結保管されています。今後、当研究室にて血液分析やホルモン分析を行い、水中エコー画像と血液サンプルから得られる生理状態を統合することで、これまでほとんど知られていなかった繁殖生理に関する知見を深める研究を進めていく予定です。今後も本プロジェクトに協力し、国内外の研究機関とともに、ジンベエザメの保全に寄与する科学的知見の拡大に貢献してまいります。

これまでの研究成果: 野生ジンベエザメの生態研究に関する論文が掲載されました | 一般財団法人 沖縄美ら島財団 (churashima.okinawa)
 

  • 調査船

  • 潜水直前の様子

  • 水中エコーの様子

  • 水中採血の様子

 

 

北太平洋全体のザトウクジラの資源状態と気候変動の影響に関する論文が掲載されました!


   1頭1頭異なるザトウクジラの尾びれの特徴

 ザトウクジラは、個体ごとに尾びれの模様や形状が異なり、この特徴を用いて個体を識別することができます。本研究では、2002~ 2021年に、沖縄を含む日本、フィリピン、ハワイ、メキシコ、アメリカ、ロシア等、多くの国や地域で収集された計19万枚以上の尾びれ識別写真を用いて、個体数推定を行いました。
その結果、北太平洋のザトウクジラは、2002~ 2012年にかけて16,875頭から33,488頭まで増加し、その後、2012~ 2021年にかけては、26,662頭程まで減少していたことがわかりました。特にハワイ周辺で繁殖来遊する集団については、2013年をピークに徐々に減少し、2021年には34%程も個体数が減少していたことが新たに確認されました。
これらの結果は、北太平洋全体でザトウクジラの資源量が環境収容能力に達した可能性を示唆するとともに、2014年から2016年にかけて発生した世界最大規模の海洋熱波および気候変動が、その資源状態や回復傾向に長期的な影響を与えている可能性を示しました。今後も北太平洋全体で協力して調査研究を継続することで、ザトウクジラの正確な資源状態の動向や気候変動の影響についての把握を目指します。

【著者名】Ted Cheeseman, Jay Barlow, …, Nozomi Kobayashi, …, Haruna Okabe …, Phil Clapham (他69名)
【論文題名】Bellwethers of change: population modelling of North Pacific humpback whales from 2002 through 2021 reveals shift from recovery to climate response
【雑誌名】Royal Society Open Science
【論文リンク】https://doi.org/10.1098/rsos.231462

ハワイ マウイ島で日本のザトウクジラに関する講演と現地調査を実施しました!

 米国ハワイ州マウイ島で実施されたザトウクジラの調査研究に関連した教育イベント「Whale Tales」にて、当財団の職員が、沖縄を含む日本のザトウクジラの調査研究や取組みに関する講演を実施しました。
 ハワイ州で長年にわたって鯨類の調査研究を実施する研究機関「Whale Trust」が主催する第17回Whale Talesには、ハワイ州内外から約800名の人々が参加し、世界各国(ハワイ、メキシコ、フィリピン、ニカラグア、日本)の研究者が、それぞれの国で実施されている鯨類調査やホエールウォッチング産業について、招待講演を行いました。当財団も、沖縄や日本におけるザトウクジラに関する取り組みについて講演し、パネルディスカッションに参加しました。
 また、イベントの一環で、ホエールウォッチングツアーに研究者として乗船し、一般参加者からの質問、解説対応などを行いました。 また、イベント参加後は、ハワイ州でザトウクジラの調査研究を実施するKeiki Kohora ProjectやPacific Whale Foundationとの共同調査にも参加し、今後の北太平洋全域を対象としたザトウクジラの保全に向けて連携を深めました。

「Whale Tales」での講演、パネルディスカッションやホエールウォッチング参加時の様子

                現地でのザトウクジラ調査に参加した際の様子

沖縄でのホエールウォッチング・スイムツアー事業によるザトウクジラへの影響評価調査について、国際捕鯨員会(IWC)で報告しました。

 

ブリーチするザトウクジラ


調査を実施する様子

近年、沖縄や奄美周辺海域では、冬の観光産業として、ザトウクジラを対象としたホエールウォッチングやホエールスイムツアー産業が盛んに行われています。その一方で、ツアーの対象種であるザトウクジラへの影響も懸念されています。そこで、当財団では2022年から、沖縄県内の関連事業者の方々やハワイの研究組織Pacific Whale Foundation(PWF)と共同で、「ホエールウォッチング・スイムツアーによる影響評価調査」を開始しました。
2022~2023年の冬季に実施した調査では、計64群のザトウクジラを対象に、ホエールスイムツアー15回、ホエールウォッチングツアー12回分の調査データを収集することができました。さらに、この研究の実施について、国際捕鯨委員会(IWC)のホエールウォッチング分科会で報告しました。
今後、同調査結果の解析を進めるとともに、ザトウクジラと人がより良い形で共存できる環境や産業の形を目指しつつ、沖縄県内の観光産業の発展に寄与していきたいと考えています。





【著者名】
Stephanie H. Stack, Nozomi Kobayashi, Haruna Okabe, Sachie Ozawa

【題名】
Studying the behavioral impacts of commercial whale watch and swim-with-whale tours on humpback whales in Okinawa, Japan.

【報告先】
Report to the IWC Scientific Committee sub-committee on Whale Watching
 

 

世界初の規模でのザトウクジラ個体識別データセット構築に関する論文が掲載されました!

 

ブリーチするザトウクジラ


調査で尾びれ写真を撮影する様子

ザトウクジラは、個体ごとに尾びれの模様や形状が異なり、この特徴を用いて個体識別をすることができます。本研究では、世界初の規模となる、北太平洋全域を対象としたザトウクジラの尾びれ識別写真の大規模なデータセットの構築および尾びれ照合システムの開発と利用に関する成果を論文にまとめ発表しました。
 本研究では、ザトウクジラが来遊する計13海域(繁殖海域6、摂餌海域6、回遊途中海域1)において、39の研究組織と市民科学者によって収集された識別写真が用いられました。これらの識別写真を、AI自動画像認識システムを用いて、照合、集約することで、世界初の規模となるザトウクジラ識別写真のデータセットを構築しました。同システムでは、2001~ 2021年の間で計157,350件、27,956個体分の識別写真が収集されました。また、識別写真の照合の結果、北太平洋では、全個体の約87%の個体が複数年にわたって何度も確認されており、その平均観察回数が5.6回であることが示されました。
 本研究で構築された、大規模なデータセットとAI自動画像認識システムは、国や地域を超えて大回遊を行うザトウクジラの生態把握や保全計画に必要不可欠な情報を把握する上で、今後大変重要な技術と情報源となることが期待されます。



【著者名】
Ted Cheeseman, Ken Southerland, …, Nozomi Kobayashi, …, Haruna Okabe, …, Phil Clapham(他64名)

【論文題名】
A collaborative and near‑comprehensive North Pacific humpback whale photo‑ID dataset

【雑誌名】
Scientific Reports

【論文リンク】
https://rdcu.be/dVXjl

 

国際爬虫類両棲類学会にてウミヘビの餌探索方法とキシノウエトカゲの年齢推定についての発表を行いました

発表の様子1


発表の様子2

 
2024年8月5日から9日にかけてマレーシアのサラワク州クチンにて行われた、国際爬虫類両棲類学会にて、当財団の職員が研究成果の発表を行いました。
国際爬虫類両棲類学会は、世界最大の爬虫類・両棲類に関する国際学会で4年に一度の開催です。世界各国から約1400名の人々が参加し、様々な研究発表が行われた他、参加者各々の専門性に合わせて多様なシンポジウムが開催されました。当財団も、飼育下ならではのウミヘビの採餌に関する研究とトカゲの保全に関する研究を発表しました。また、今後の研究や保全活動に向けて世界の研究者と意見交換を行いました。

【参加学会】
第10回国際爬虫類両棲類学会
【発表タイトル】
1.How sea snakes find and identify their prey in water ウミヘビはどのようにして水中で獲物を見つけて識別するのか(発表者:笹井隆秀、シンポジウムタイトル:The diversity and evolution of snake sensory systems ヘビの感覚器官の多様性と進化)

2.Age Structure and Growth Pattern of the Kishinoue's Giant Skink, Plestiodon kishinouyei (Squamata: Scincidae), Inferred by Skeletochronology 骨年輪法によるキシノウエトカゲの年齢構成と成長パターンの推定(発表者:笹井隆秀)

国際シンポジウムにてサメの保全技術について発表を行いました

シンポジウムでの発表の様子(岡本)


シンポジウムでの発表の様子(冨田)

 2024年7月10日から14日にかけて米国ペンシルバニア州ピッツバーグにて行われた、国際シンポジウムにて、財団職員が研究成果発表を行いました。当財団が行ってきた板鰓類(サメ・エイ類)の保全研究について発信し、今後の研究に向けて世界の研究者と意見交換を行いました。

【参加学会】
JMIH2024(アメリカ板鰓類学会・両生爬虫類学会・魚類学会の合同大会)
【シンポジウムタイトル】
Contributions of Aquariums to Elasmobranch Research(水族館の板鰓類研究への貢献)
【発表タイトル】
1.Changes in sex steroid hormone levels and reproductive organs reflect the breeding status of zebra sharks in Okinawa Churaumi Aquarium
(沖縄美ら海水族館におけるトラフザメの繁殖状況を反映する性ステロイドホルモン値と生殖器官サイズの変化<発表者:岡本情)>)
2.Development of artificial uterus: A new conservation breeding technique for sharks
(サメの保全繁殖に向けた人工子宮装置の開発<発表者:冨田武照>)
 

第4回「アジア海棲哺乳類ストランディングネットワーク(AMMSN)国際ワークショップ2024 in 沖縄」を開催しました!

 2024年7月8日~10日の3日間、沖縄美ら島財団と沖縄美ら海水族館にて、第4回Asian Marine Mammal Stranding Network(アジア海凄哺乳類ストランディングネットワーク)ワークショップが開催されました。このワークショップは、特にアジアにおける海棲哺乳類の保全のため、ストランディング(漂着や迷入)発生時の対処方法、組織間の技術共有と連携強化を目的として、これまでにフィリピン、タイ、台湾で開催されています。
日本初開催となる第4回大会は、AMMSN事務局、当財団の共同主催で開催され、各国の事例紹介、獣医師による治療実演、ストランディング発生時の対応実地研修、コブハクジラの解剖実習等が3日間に亘って行われました。タイ、フィリピン、香港、シンガポール、アブダビ、スコットランド、日本から、獣医師、研究者、水族館トレーナー、学生等、約70名の参加者が集い、ワークショップを通じて、互いの連携を深めながら、大変活発に各国間の技術交換や情報共有が行われました。今回生まれた新たな連携や協力関係を基に、今後アジアを含む世界の海洋生態系保全に寄与することが期待できる、非常に有意義なワークショップとなりました。
 

  • 全体集合写真

  • コブハクジラの解剖実習

  • 獣医師による治療実演研修

  • 各国からの事例・活動報告紹介講演

  • ビーチでの事案発生時の対処研修

  • 水族館での懇親会とエイサー演舞

希少種シノノメサカタザメの保全技術確立に向けた調査を開始

沖縄美ら海水族館は、アメリカのジョージア水族館およびシェッド水族館と共同で、希少種であるシノノメサカタザメの保全研究を開始しました。

 

シノノメサカタザメとは?
シノノメサカタザメは、一見サメのように見える特徴的な形態をしたエイの一種です(下写真参照)。本種は国際自然保護連合(IUCN)レッドリストで「深刻な絶滅危機:Critically Endangered)に指定されており、乱獲や生息地の環境悪化により個体数の急激な減少が懸念されています。

 

 

誕生から現在までの歩み
沖縄美ら海水族館では2023年10月、全長約40cmの10匹のシノノメサカタザメの赤ちゃんが誕生しました※1。その後、2024年11月には全長1.1mを超えるまでに健康に成長しました。この成果は、当館が有する専門的な飼育技術と環境整備、徹底した健康管理の積み重ねによるものです。

 

放流の様子


放流されたシノノメサカタザメ

野外と水族館での調査
将来の保全技術の確立を目指し、当館では生まれた個体の一部を沖縄本島周辺の海域に放流し、その行動をモニタリングする調査を実施しました(下写真参照)。放流個体には電子標識を装着し、「遊泳水深」「環境水温」「移動範囲」などを確認します。これらのデータは、シノノメサカタザメの生態解明や将来の保全計画に役立てられる予定です。また、放流されなかった兄弟の個体については、水族館内で飼育しながら成長や性成熟の生理学的モニタリングを行い、種の特性に関するさらなる知見を深めます。水族館での飼育については、今後、本種の適正飼育に実績のある国外の水族館とも連携していく予定です。



グローバルな連携による将来への取り組み
今回の放流調査は、飼育技術と野外調査の両面で高い専門性を持つアメリカのジョージア水族館およびシェッド水族館との協力により進められています。沖縄美ら海水族館では、生息域内(野外)と生息域外(水族館)での研究を並行して進めることで、将来の保全に迅速かつ効果的に対応できる体制を構築していきます。
 

 

ナンヨウマンタの行動と体温を追跡:最新技術で解き明かす生態

 

調査個体(ナンヨウマンタ)


マンタに取り付けた行動記録計

沖縄美ら海水族館は自然下での生態や生理状態を理解するため、野外研究を開始しました。 当館はこれまで本種を長期飼育し、性成熟※1や繁殖※2に関する新たな知見を得てきました。今回の研究では、野外での行動特性を詳細に調べるため、個体に行動記録計を装着し、遊泳速度や加速度、水深、水温を計測します。また、体温計を取り付けることで、冷たい深海域まで潜水するとされる本種の体温がどのように維持されるのかを直接記録することを目指しています。過去に実施したジンベエザメにおける同様の調査※3を参考に、ナンヨウマンタの行動・生理研究を通じて、本種の生態解明や保全に役立つ情報を得ることを目的としています。

過去の研究業績
※1 Nozu R, Murakumo K, Matsumoto R, Matsumoto Y, Yano N, Nakamura M, Yanagisawa M, Ueda K, Sato K. 2017. High-resolution monitoring from birth to sexual maturity of a male reef manta ray, Mobula alfredi, held in captivity for 7 years: changes in external morphology, behavior, and steroid hormones levels. BMC Zool. 2(14).

※2 Murakumo K, Matsumoto R, Tomita T, Matsumoto Y, Ueda K. 2020. The power of ultrasound: observation of nearly the entire gestation and embryonic developmental process of captive reef manta rays (Mobula alfredi). Fishery Bulletin. 118: 1–7.

※3 Nakamura I, Matsumoto R, Sato K. 2020. Body temperature stability in the whale shark, the world's largest fish. Journal of Experimental Biology. 223 (11): jeb210286.

 

オオテンジクザメの謎に迫る~最新技術で解き明かす生態と保全への挑戦~

使用された記録計


放流の様子

 沖縄美ら海水族館では、オオテンジクザメの生態や自然下での生理状態をより深く理解するため、野外研究を開始しました。
本種は国内で主に八重山諸島周辺に生息することが知られていますが、その行動生態についてはよく分かっていません。この研究では、個体に体温計、心電図ロガー、行動記録計を装着します。装着した機材はタイマーにより自動で切り離され、後日、研究員により回収され、野外での行動や生理状態を記録・分析します。
沖縄美ら海水族館では,本種の飼育を通した研究のみならず,本研究のような野外における行動・生理研究や、八重山個体群の遺伝的調査も併せて行うことにより、本種の生態解明や種の保全に寄与していきます。

※飼育研究業績
Tomita T, Murakumo K, Ueda K, Ashida H, Furuyama R. 2019. Locomotion is not a privilege after birth: Ultrasound images of viviparous shark embryos swimming from one uterus to the other. Ethology. 125: 122-126.

水族館職員による論文が、公益社団法人日本動物園水族館協会、2024年度技術研究表彰を受賞しました。


 

 アオウミガメはIUCN(国際自然保護連合)のレッドデータにも掲載され、絶滅が危惧されています。沖縄美ら海水族館では、本種の保全を目的に、1994年から飼育展示を通して、繁殖や生理生態の研究を行ってきました。
特にウミガメ類の性成熟がはじまる年齢を調べることは非常に難しく、飼育下で繁殖させて確かめる方法が最も有効です。当館では1999年に水族館で生まれた雌のアオウミガメを飼育しながら、毎年、エコーによる生殖腺(卵巣)の観察や直甲長(甲羅の長さ)および体重の測定を行ってきました。その結果、飼育下での雌アオウミガメの性成熟が22‐23才、直甲長82.4-83.5 cm、体重100.4-105.0 kgで開始することが明らかとなりました。

【受賞者】河津 勲、真栄田賢、小淵貴洋、笹井隆秀、水落夏帆、
    山﨑 啓、前田好美、木野将克、深田晋悟(沖縄美ら海水族館)
【題 目】原著論文「飼育アオウミガメにおける卵黄形成開始時の年齢および体サイズ」
【掲載誌】動物園水族館雑誌第65巻2号, 31–36, 2023.
 

沖縄美ら島財団、海外の主要水族館と連携協定を締結

沖縄美ら海水族館を管理運営する一般財団沖縄美ら島財団は、このたび、ジョージア水族館(アメリカ)、バレンシア水族館(スペイン)、モナコ海洋研究所(モナコ)とそれぞれ連携協定を締結いたしましたのでお知らせします。

【協定締結の目的】
生物多様性の保全や希少生物の域外保全、海洋環境問題への取り組みなど当財団と共通の理念と目標をもつ海外の水族館と連携し、グローバル化する課題の解決や、調査研究、教育普及、将来に向けた人材の育成など、相互交流を通して水族館運営基盤の強化を図ります。
 

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ホホジロザメの赤ちゃんは生まれたあとに「一皮剥ける」



 2023年、北米カリフォルニア沖で、世界初となるホホジロザメの新生仔が目撃されました。その発見は、ホホジロザメの出産海域に謎を解く手がかりとして重要であるほか、出産後の仔ザメが「謎の白い膜」に覆われていたことにより、大きなニュースとなりました。当館の研究チームは、その体を覆っていた「白い膜」の正体を解明し、国際学術誌に論文として発表しました。
 私たちの研究グループがホホジロザメの近縁種であるネズミザメの胎仔を調査したところ、この「白い膜」は、当初考えられていた“羊水の成分が胎仔の皮膚にこびりついたもの”ではなく、胎仔の皮膚そのものであることが分かりました。胎仔は、体表の鱗の外側にさらに一枚の白い表皮を持っており、その表皮は出産後ただちに剥離すると考えられます。
 このような現象は、過去に調査されたことがなく、謎多きホホジロザメの繁殖生態に新たな知見を与えるものです。

【論文タイトル】Whitish film covering a newborn white shark was not intrauterine material but embryonic epithelium (ホホジロザメ新生仔を覆っていた白い膜は、羊水成分ではなく胎仔の皮膚だった)
【著者名】Taketeru Tomita, Kei Miyamoto, Masaru Nakamura, Kiyomi Murakumo, Minoru Toda, Keiichi Sato (全て財団職員) 
【雑誌名】Environmental Biology of Fishes
【論文リンク】https://rdcu.be/dJhXB(閲覧のみ)

新属新種「チュラウミゴカクヒトデ」の記載論文が掲載されました



沖縄島などから採集した中深層性のヒトデを、新属新種として記載しました。
本種の属するゴカクヒトデ科は、全世界から70属160種以上が知られている巨大なグループの一つです。今回使用した標本は、当館所有の無人潜水艇(ROV)を用いて、沖縄県恩納村周辺の水深247mなどから採集したものです。ROV調査では、本種が岩礁の陰となる場所に生息する様子や、多くのゴカクヒトデ類が餌とする八放サンゴ類の近くにいる姿が確認されるなど、貴重な生態の撮影と生体採集に成功しました。

【著者名】Christopher L. Mah, 木暮 陽一, 藤田敏彦, 東地 拓生 (太字:水族館職員)
【タイトル】New Taxa and Occurrences of Mesophotic and Deep-sea Goniasteridae
(Valvatida,Asteroidea) from Okinawa and adjacent regions.
【雑誌名】Zootaxa

2023年

飼育アオウミガメにおける性成熟開始時の年齢や体サイズに関する論文が掲載されました!

アオウミガメはIUCN(国際自然保護連合)のレッドデータにも掲載され、絶滅が危惧されています。沖縄美ら海水族館では、本種の保全を目的に、1994年から飼育展示を通して、繁殖や生理生態の研究を行ってきました。
特にウミガメ類の性成熟がはじまる年齢を調べることは非常に難しく、飼育下で繁殖させて確かめる方法が最も有効です。当館では1999年に水族館で生まれた雌のアオウミガメを飼育しながら、毎年、エコーによる生殖腺(卵巣)の観察や直甲長(甲羅の長さ)および体重の測定を行ってきました。その結果、飼育下での雌アオウミガメの性成熟が22‐23才、直甲長82.4-83.5 cm、体重100.4-105.0 kgで開始することが明らかとなりました。

【論文タイトル】 飼育アオウミガメにおける卵黄形成開始時の年齢および体サイズ
【著者名】 河津 勲 ・ 真栄田 賢 ・ 小淵 貴洋 ・ 笹井 隆秀 ・ 水落 夏帆 ・ 山崎 啓 ・ 前田 好美
               木野 将克 ・ 深田 晋悟 
(太字:財団職員)
【雑誌名】 動物園水族館雑誌

「サメの人工子宮」研究に続報!人工子宮生まれの仔ザメの安定育成に成功

人工子宮内のヒレタカフジクジラの胎仔(左)と、「出産」後の仔ザメたち(右)

当館では希少なサメの域外保全を目的とした「サメの人工子宮装置」の開発に取り組んできました。
2021年から2022年にかけて、当館では2回目となる人工子宮装置を用いた深海ザメ「ヒレタカフジクジラ」の胎仔の育成を行いました。その結果、1回目の育成では達成できなかった「出産」後の仔ザメの安定育成に世界で初めて成功し、その成果を国際学術誌にて報告しました。
「出産」の二ヶ月前から胎仔をゆっくり海水に慣れさせたことと、「出産」後の仔ザメに消化しやすい特別食を与えたことが今回の成功につながりました。

【著者名】Taketeru Tomita, Minoru Toda, Atsushi Kaneko, Kiyomi Murakumo, Kei Miyamoto, Keiichi Sato (全て財団職員)
【タイトル】Successful delivery of viviparous lantern shark from an artificial uterus and the self-production of lantern shark luciferin 
(人工子宮で育成したフジクジラの出産成功と、フジクジラ類の発光物質の自己生成)
【論文リンク】(無料)https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0291224
【雑誌】PLOS ONE

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飼育下におけるオキゴンドウの出産と授乳の論文が掲載されました!

 オキゴンドウは世界中の温暖な海域に広く生息し、水族館での飼育例が少ない希少な種類です。
沖縄美ら海水族館で、2017年5月23日に世界で4例目となる飼育下でのオキゴンドウの繁殖に成功しました。鯨類の出産は、母親の体内から尾びれを先にして産まれる尾位分娩が多いですが、今回は頭から産まれる「頭位分娩」での出産となりました。この頭位分娩はオキゴンドウにおいて世界で初めての事例であり、分娩時間は9時間で、初めて授乳するまでに16時間かかることなど、頭位から出産しても正常に分娩や授乳が行われることが明らかになりました。
本研究の成果は、オキゴンドウの飼育下繁殖の技術向上に貢献することが期待されます。

【著者名】Suguru Higa, Yuuta Mitani, Shunya Ikeshima, Nozomi Kobayashi, Keiichi Ueda and Isao Kawazu (全て財団職員)
【タイトル】Parturition and Nursing Events in a Cephalic Birth of a False Killer Whale (Pseudorca crassidens) in Managed Care
【雑誌】Aquatic Mammals
 

奇妙で美しい深海生物のビジュアルブック「美ら海トワイライトゾーン」が出版されました

 沖縄美ら海水族館と総合研究所のスタッフが執筆した深海生物のビジュアルブック「美ら海トワイライトゾーン 知られざる深海生物のワンダーランド」が出版されました。当財団、水族館はこれまでに800回を超える深海生物調査を実施し、920種の深海生物を発見してきました。その奇妙で美しい姿を、飼育員でなければ撮影できない貴重な写真とともに紹介します。

執筆・監修:佐藤 圭一 
執筆:沖縄美ら海水族館深海展示チーム
発行:産業編集センター
 

学術誌Marine Mammal Scienceに掲載された論文が
2021-2022年 同誌で最も引用された論文の1編として表彰されました!


 ブリーチするザトウクジラ(左上)、ソング活動の日周変動を表した論文結果の概略(左下)と表彰内容(右)

 (一財)沖縄美ら島財団の研究グループが学術誌Marine Mammal Scienceに投稿し、掲載された、沖縄でのザトウクジラの鳴音(ソング)の日周変動について明らかにした論文が、2021年1月1日~2022年12月15日の期間中に同誌で最も引用された論文の1編として表彰されました。本論文の詳細については、以下の記事をご参照ください。 
https://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1668489623/

【論文リンク】 DOI: 10.1111/mms.12790

国内4海域に来遊するザトウクジラの集団構造に関する論文が掲載されました!


 ブリーチするザトウクジラ(左上)、1頭1頭異なる尾びれの特徴(左下)と研究結果概略図(右)

 ザトウクジラは、夏季は高緯度海域で摂餌を行い、冬季に低緯度海域で繁殖(交尾、出産、子育て)をすることがわかっています。西部北太平洋海域では、ロシア周辺が摂餌海域、沖縄、奄美、小笠原、フィリピンマリアナ諸島周辺が繁殖海域、北海道等が回遊途中海域として知られています。また、尾びれの模様や形状を基に個体を識別することが可能です。
今回、国内海域間の交流や関係性について解明するため、(一財)沖縄美ら島財団、認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー(東京都小笠原村)、 一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会(東京都小笠原村)、奄美クジラ・イルカ協会(鹿児島県奄美市)、国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター(北海道函館市)、大阪大学サイバーメディアセンター(大阪府茨木市)の研究チームは、1989-2020年に沖縄、小笠原、奄美、北海道の4海域(以下、国内4海域)で撮影されたザトウクジラ3,532頭分の尾びれ写真を、尾びれ自動照合システムを用いて照合しました。
その結果、沖縄-北海道間で3頭、沖縄-小笠原間で225頭、沖縄-奄美間で222頭、小笠原-奄美間で36頭の一致個体が見つかりました。
これらの一致個体頭数を基に、海域間の交流指数や各海域の回帰指数を算出したところ、国内4海域は、1つの共通の集団によって利用されている可能性が高いことが判明しました。
また、海域間によって交流頻度は異なり、フィリピン海の太平洋側(小笠原からマリアナ諸島)と東シナ海側(奄美、沖縄、フィリピン)をより頻繁に利用する2つの小グループが存在する可能性が示唆されました。
日本周辺のザトウクジラの保全に向け、大変貴重な発見、報告となりました。今後は、共同でDNA解析手法を用いてより詳細な集団構造の解明を目指します。

 

【著者名】 Nozomi Kobayashi, Satomi Kondo, Koki Tsujii, Katsuki Oki, Masami Hida, Haruna Okabe,  Takashi Yoshikawa, Ryuta Ogawa,
               Chonho Lee, Naoto Higashi, Ryosuke Okamoto, Sachie Ozawa, Senzo Uchida, Yoko Mitani (太字:財団職員)
【タイトル】 Interchanges and movements of humpback whales in Japanese waters: Okinawa, Ogasawara, Amami, and Hokkaido, using an automated matching system
【雑誌】 PLOS ONE
【論文リンク】 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0277761

「水を汲むだけ」でハブクラゲの存在を知る方法を開発しました


                   漁港で大量発生したハブクラゲ

 沖縄美ら島財団では、水中に漂う生物のDNA断片を調べ、どんな生物がいたのかを知ることのできる「環境DNA」の研究を進めており、数々の研究成果を発表しています。
今回、当財団は、沖縄県衛生環境研究所と共同で、沖縄の沿岸域での安全なレジャーや漁業活動の脅威となっている有毒生物「ハブクラゲ」の存在を、環境DNA技術を使って知ることのできる技術を開発しました。
これによって、ハブクラゲが目で見えない状況でもその存在を知ることができるほか、まだ明らかになっていない幼生の生息環境などを知ることができるようになりました。
今後、この技術を野外に投入してハブクラゲの生態を明らかにすることで、被害対策に役立てられることが期待できます。

【著者名】 Yasuhito Azama, Shin-ichiro Oka, Morimi Teruya, Sho Toshino, Miyako Tanimoto, Nozomi Hanahara, Yumani Kuba,
               Ayano Miyagi and Yoshimune Fukuchi(太字:財団職員)
【タイトル】 ハブクラゲの環境DNAを検出するためのリアルタイムPCRアッセイ
      Real-time PCR assay for detection of Environmental DNA from Chironex yamaguchii
【雑誌】 衛生生物
           Medical Entomology and Zoology
【論文リンク】 https://www.jstage.jst.go.jp/article/mez/74/1/74_2213/_article/-char/ja/

 

オスを不妊化することでティラピアを減らすことを試みた論文が発表されました


                   外来種カワスズメ(ティラピア)

 アフリカ原産の外来魚カワスズメ(通称ティラピア)は、沖縄県の大部分の水域に侵入しており、在来生態系への影響が強く懸念されている外来種です。
沖縄美ら島財団では、ティラピアの稚魚を一定期間高温で飼育することでオスが不妊(=生殖能力がない)となることと、本種がペア産卵を行う性質を利用し、不妊オスを野外に放流することで無駄な産卵を行わせ、将来生まれてくる子供の数を減じるための実験を行いました。
海洋博公園内の人工池にかつてより侵入したティラピア群を対象に、3年間にわたる駆除と不妊オスの放流を実施しました。その結果、繁殖縄張りをもつ雄の大半を不妊オスとすることに成功はしましたが、次世代の子供が明確に減じたという証拠は得られず、不妊オスの放流による効果はあまりないという結論に至りました。不妊オスを用いて生息数を減らす試みは、脊椎動物では本実験が初となりますが、残念ながら当初期待していた効果は得られませんでした。
この結果の背景には、著しく高いティラピアの繁殖能力があると考えており、外来種駆除の難しさを強調する結果となりました。
当財団では、ひき続き自然遺産のやんばる地方を含めた沖縄の自然が抱える諸問題を解決するための調査研究を行っていきます。

 

 

【著者名】 Shin-ichiro OKA, Ryo NOZU, Kei MIYAMOTO, Taketeru TOMITA, Nozomi HANAHARA, Chihiro YAMAUCHI,
     Takahide SASAI and Masaru NAKAMURA (太字:財団職員)
【タイトル】 A trial to control invasive Mozambique tilapia populations using the sterile-male release technique in the artificial ponds on Okinawa
【雑誌】 Biological Magazine Okinawa

遺伝子から探るジンベエザメの視覚の進化に関する論文が掲載されました

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ジンベエザメは、海の表層で動物プランクトンなどをろ過して摂餌することが知られています。しかし、ジンベエザメの行動を記録する装置(データロガー)を装着すると、光の届きにくい深海にまで潜ることが分かりました。明るい海面近くと暗い深海を行き来するジンベエザメは、一体どのような視覚をもつのでしょうか?

【著者名】Yamaguchi, K., Koyanagi, M., Sato, K., Terakita, A. and Kuraku, S.(太字:財団職員)
【タイトル】Whale shark rhodopsin adapted to deep-sea lifestyle by a substitution associated with human disease.
【雑誌】Proceedings of the National Academy of Sciences

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新種のイソギンチャク「リュウグウノゴテン」の論文が掲載されました

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沖縄諸島から採集した深海性のイソギンチャクを「リュウグウノゴテン」という和名で新種記載しました。本種の属するマミレイソギンチャク属は全世界から約30種が知られていますが、ほとんどの種が19世紀から20世紀初頭に記載されており、本属の新種記載は21世紀では初となります。
今回使用した標本は、無人潜水艇(ROV)を用いて沖縄県石垣島周辺の水深206mなどから採集したものです。ROV調査では、本種が岩礁の陰や海綿動物の穴に身を隠すようにして生息する姿や、本種の周囲にジンケンエビ類が群がる様子の撮影に成功しました。

【著者名】泉 貴人, 東地 拓生(太字:財団職員)
【題名】Gigantic anemone species in the deep ‘churaumi’ ? description of a new species of the genus Telmatactis (Cnidaria: Anthozoa: Actiniaria: Metridioidea), Telmatactis profundigigantica sp. nov.
【雑誌名】Species Diversity

野生ジンベエザメの生態研究に関する論文が掲載されました

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ガラパゴス海洋保護区は世界で唯一、成熟した雌のジンベエザメが回遊することで知られており、その多くが妊娠個体である可能性が報告されています。(一財)沖縄美ら島財団はGalapagos Whale Shark Project(エクアドル)、キト・サンフランシスコ大学(エクアドル)、ガラパゴス国立公園管理局(エクアドル)、ジョージア水族館(アメリカ)、Galapagos Conservation Trust (イギリス)、Marine Megafauna Foundation(アメリカ)と共同でジンベエザメの繁殖生態の解明に向けた野外調査を同海域で行っています。

【論文タイトル】Underwater ultrasonography and blood sampling provide the first observations of reproductive biology in free-swimming whale sharks
【著者名】Rui Matsumoto, Kiyomi Murakumo, Ryo Nozu, David Acuña-Marrero, Jonathan R. Green, Simon J. Pierce, Christoph A. Rohner, Harry Reyes, Sofia M. Green, Alistair D. M. Dove, Maria L. Torres, Alex R. Hearn (太字:財団職員)

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サメの腸は「おしぼり」のように機能する!?

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サメの腸はとても変わった構造をしています。外から見ると筒型ですが、内部にラセン状の弁が収納されています。しかし、「なぜラセンなのか?」という疑問については、未だ明確な答えが得られていません。
今回、その疑問に答えるヒントになるかもしれない発見がありました。超音波診断装置(エコー)を用いて水族館で飼育するジンベエザメ「ジンタ」の腸の動きを観察したところ、サメは消化中に腸をねじっていることが分かりました。ねじる方向は常に右向きで、これはラセン弁の巻きをよりキツくする方向です。
つまり、雑巾をねじって水を絞るように、サメは腸をねじることで内部の糞便を肛門から絞り出していると考えられます。

この結果は、水族館で生体を飼育することで初めて分かったことです。
今後も、私たちは飼育生物の研究を通じて、生物の謎の解明に貢献して参ります。

【論文タイトル】Narrowing, twisting, and undulating: Complicated movement in shark spiral intestine inferred using ultrasound
【著者名】著者:Taketeru Tomita, Kiyomi Murakumo, Rui Matsumoto (すべて財団職員)
【雑誌名】Zoology

ジンベエザメの視覚に関する論文が掲載されました

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ジンベエザメだけに起きた視覚の進化 ~深海生活への適応か?~
動物は、生息環境中の光を活用するしくみをもっています。なかでも、深海や地中など微弱な光環境で暮らす生物種は、その限られた光を活用する特別なしくみを備えています。最大の魚類であるジンベエザメは、海水面近くで摂餌をする一方で、光の届きにくい深海にも潜ることが知られています。
今回、沖縄美ら島財団研究センターの佐藤圭一上席研究員は、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の工樂樹洋教授(理化学研究所 チームリーダー)、大阪公立大学の小柳光正教授が率いる研究チームとの共同研究により、ジンベエザメが光を活用するしくみの解明に挑みました。

【論文タイトル】Whale shark rhodopsin adapted to deep sea lifestyle by a substitution associated with human disease
(ヒトの疾患に関連したアミノ酸置換によって深海生活に適応したジンベエザメのロドプシン)
【著者名】Kazuaki Yamaguchi, Mitsumasa Koyanagi, Keiichi Sato, Akihisa Terakita, Shigehiro Kuraku
(山口和晃、小柳光正、佐藤圭一、寺北明久、工樂樹洋)

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2022年

クマノミ類が共生するイソギンチャクの触手から新たな遺伝子情報が明らかに!

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クマノミ類はイソギンチャクと共生することは良く知られています。本研究は、クマノミ類の宿主イソギンチャク類の系統分化を、遺伝子解析により明らかにしました。この成果により、宿主イソギンチャク類の毒性の違いなど、クマノミ類との相互作用に関する理解が、今後更に深まる可能性があります。

【著者名】Rio Kashimoto, Miyako Tanimoto, Saori Miura, Noriyuki Satoh, Vincent Laudet, Konstantin Khalturin(太字:財団職員)
本研究は沖縄科学技術大学院大学(OIST)と当財団の共同で行われました。
【題名】Transcriptomes of Giant Sea Anemones from Okinawa as a Tool for Understanding Their Phylogeny and Symbiotic Relationships with Anemonefish
【雑誌名】Zoological Science

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ホエールウォッチングやホエールスイムツアーによるザトウクジラへの影響調査を関連事業者、海外研究組織と共同で実施しています!

近年、ザトウクジラを対象としたホエールウォッチング産業が国内でも年々拡大傾向にあり、一部の海域では、クジラと泳ぐホエールスイムツアー等の新規事業も開催されています。一方、国外の研究成果からは、これら観光産業の拡大による、出産数や来遊頭数の減少などの対象鯨類への影響が懸念、示唆されています。
そこで、(一財)沖縄美ら島財団総合研究センターでは、ザトウクジラの保全と持続的な観光産業の発展を目的として、ホエールウォッチング、スイムツアー事業によるザトウクジラへの影響評価調査に取組んでいます。この調査は、同分野で数多くの実績を持つPacific Whale Foundation(米国:ハワイ州)のStephanie Stack博士の研究チームや、地元観光事業者の方々と連携して実施しています。今後も皆さんと協力しながら、鯨類への影響を最小限に抑えたツアーのルール作りや持続可能な事業の体制の実現を目指し、同調査を継続的に実施していきます!

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極小サイズのヨウジウオ科魚類「ハリヨウジ」の標本を日本初記録!

小さすぎ!と思わずツッコミたくなるような魚が見つかりました。沖縄美ら島財団の研究グループは、沖縄県本部町沖の水深8mから採集された非常に小さいヨウジウオ科魚類が、標本による日本初記録種Kyonemichthys rumenganiであることを明らかにしました。
本種は、ごく一部のスキューバダイバーの間では日本に生息することが知られていましたが、詳しい観察がされるのは今回が初めてです。
形態観察と遺伝子解析から、本種は内湾や汽水域などに生息するオクヨウジ属に近縁であることが明らかになりました。針のように細く小さい体に因み、新和名「ハリヨウジ」を提唱しました。

【著者名】Nozomi Hanahara, Miyako Tanimoto,Naoki Shirakawa (太字:財団職員)
【題名】Kyonemichthys rumengani (Teleostei: Syngnathidae) is sister taxon to the pipefish genus Urocampus: genetic and morphological evidence
【雑誌名】Species Diversity DOI: 10.12782/specdiv.27.293

汽水・淡水域に生息するカエルアンコウの仲間「ピエロカエルアンコウ」を国内初確認

カエルアンコウの仲間は手足のように変形した胸ビレと腹ビレを使って水底を歩くように移動する魚で、世界で50種以上が知られています。その多くは海産種ですが、今回報告した「ピエロカエルアンコウ」は汽水・淡水域にまで進入する珍しい種類です。
本種はこれまで台湾以南の熱帯域に分布するとされていましたが、著者らは沖縄島と屋久島にも本種が生息することを確認、日本初記録種として報告しました。頭の上にピエロの三角帽子を思わせる円錐形の突起を持つことなどが和名の由来です。
沖縄美ら海水族館では沖縄島北部河川で採集された個体の飼育・展示にも成功しました!

【著者名】宮本 圭・和田英敏・長坂忠之助・髙野はるか・本村浩之・瀬能 宏(太字財団職員)
【題名】沖縄島および屋久島から得られた日本初記録のAntennarius biocellatus ピエロカエルアンコウ(新称)
【雑誌名】Ichthy, Natural History of Fishes of Japan

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ザトウクジラのオスの鳴き声「ソング」の日周変動を明らかにしました!



ザトウクジラのオスは、摂餌シーズン終盤から繁殖シーズンにかけて、「ソング」と呼ばれる特徴的な鳴音を発します。ソングの役割は、まだはっきりとはわかっていませんが、メスへの求愛、オス同士のけん制など、繁殖に関連した行動の1つだと考えられています。
(一財)沖縄美ら島財団の研究グループは、沖縄県本部半島沖に水中マイクを設置し、繁殖シーズン中の約2週間、24時間継続録音を実施することで、ソングは日中よりも夜の時間帯に、より活発に発せられることを明らかにしました。また洋上調査結果から、オスは、主に1頭の時にソングを発することを報告しました。これまでの研究から、繁殖海域では、個体同士の合流や、交尾を巡る競争集団が形成されるのは、日の出直後から日中に多く、午後から夕方にかけて解散、縮小する傾向にあるとされています。
これらの結果から、個体同士の合流が活発な日中は、夜間に比べて1頭のオスが少ないことから、ソング活動が減少する可能性が示唆されました。一方、日中と夜間で、オスが分布場所を変えている可能性も考えられることから、今後はより沖合の複数個所に水中マイクを設置し、さらに研究を進めていきます。

【著者名】Nozomi Kobayashi, Haruna Okabe, Naoto Higashi, Hirokazu Miyahara H, Senzo Uchida(すべて財団職員)
【題名】Diel patterns in singing activity of humpback whales in a winter breeding area in Okinawan (Ryukyuan) waters
【雑誌名】Marine Mammal Science  DOI: 10.1111/mms.12790

環境DNAサンプルの初期処理に関する簡易手法を開発しました

水を汲むだけで棲んでいる魚の種類がわかる最新技術「環境DNA」の研究を行う際、取ってきた水に含まれるDNAをろ過する作業が必要となってきます。このろ過作用には、これまで高価な器具や道具などを必要としました。
今回、3Dプリンターで作ったアタッチメントとゴムホースを組み合わせ、重力のみでろ過が可能なシステムを開発しました。これにより必要な道具が安価かつコンパクトとなり、電力のない屋外でも簡単にろ過作業ができるようになったとともに、環境DNA調査の敷居が下がることが期待されます。
詳しくは公表された論文に記載されていますが、すでに複数の研究者がこのシステムを取り入れて研究を行っています。

【著者名】岡慎一郎、宮正樹、佐渡哲也(太字は財団職員)
【題名】Gravity filtration of environmental DNA: A simple, fast, and power-free method
【雑誌名】Methods X

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進化のカギは骨片?ウミエラ類の進化の一端を解明!



ウミエラ類は世界中の浅海から深海域まで幅広く生息する刺胞動物の仲間で、体内には様々な形状をした「骨片(こっぺん)」と呼ばれる微小な結晶を持ちます。
本研究では、この骨片の多様化がウミエラ類の生息水深の変遷に関係することを突き止め、水深400m以深をルーツとするウミエラ類の共通祖先が、浅海域へと進出する過程でプレート状や針状などの異なる形の骨片を獲得してきたという、特徴的な進化のパターンを発見しました。

【著者名】Kushida Y, Imahara Y, Wee HB, Fernandez-Silva I, Fromont J, Gomez O, Wilson N, Kimura T, Tsuchida S, Fujiwara Y, Higashiji T, Nakano H, Kohtsuka H, Iguchi A, Reimer JD. (太字:財団職員)
本研究は、沖縄美ら海水族館・立正大学・琉球大学をはじめとする国際共同研究チームによって実施されました。
【題名】Exploring the trends of adaptation and evolution of sclerites with regards to habitat depth in sea pens.
【雑誌名】Peer J

ハナイカの歩行に関する論文が掲載されました!

ハナイカの歩行に関する論文が掲載されました!

多くのイカは泳ぎますが、ハナイカは歩くことを好む珍しいイカです。
腹側の腕を前肢として、胴体(外套膜)から出ているフラップを後肢として使い、四足歩行を行います。
この歩行に必要なフラップが、どのようなメカニズムで動いているかを調べるため、歩行運動の観察と形態観察を行いました。

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アカウミガメの3世代目繁殖に関する論文が掲載されました!



日本は北太平洋におけるアカウミガメの主な産卵場となっており、屋久島を中心に南西諸島から本州にかけて産卵が確認されています。国内での産卵上陸頭数は1990年以降から現在にかけて減少傾向にあり、IUCN(国際自然保護連合)のレッドデータにも掲載され、絶滅が危惧されています。沖縄美ら海水族館では、本種の保全を目的に、1994年から飼育展示を通して、繁殖や生理生態の研究を行ってきました。
特にウミガメ類の性成熟がはじまる年齢を調べることは非常に難しく、飼育下で繁殖させて確かめる方法が最も有効です。当館では1995年に水族館で生まれた雌のアカウミガメを飼育しながら、毎年、エコーによる生殖腺(卵巣)の観察や直甲長(甲羅の長さ)の計測を行ってきました。その結果、飼育下でのアカウミガメの性成熟が18‐22才で開始することが明らかとなり、3世代目の累代繁殖成功も含めた本結果が、アメリカの両生爬虫類学会が出版しているHerpetological Review誌に掲載されました。

【著者名】Shingo Fukada, Isao Kawazu, Ken Maeda, Takahiro Kobuchi, Masae Makabe, Masakatsu Kino, Konomi Maeda, Mariko Omata, Takahide Sasai (すべて財団職員)
【題名】Breeding Success of a Captive F2 Generation of Loggerhead Sea Turtle in Okinawa Churaumi Aquarium
【雑誌名】Herpetological Review

エコー検査と性ホルモンのモニタリングによりトラザメの産卵周期を解明しました

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卵生のトラザメ(Scyliorhinus torazame)に対し、超音波画像診断(エコー検査)を同一個体に対して約半年間、毎日実施することで、産卵周期を非侵襲的かつストレスをかけることなく把握することに成功しました。

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水族館職員による論文が、公益社団法人日本動物園水族館協会2022年度技術研究表彰を受賞しました。



ユメゴンドウの攻撃行動の抑制に関する論文が、行動観察データを統計処理し科学的な裏付けによる攻撃行動の抑制を試みた報告で鯨類の飼育園館が活用できる有意義な報告であると評価され、日本動物園水族館協会2022年度技術研究表彰を受賞しました。

【受賞日】2022年5月27日
【受賞者】瀬戸沙也加、比嘉 克、河津 勲(沖縄美ら海水族館)
【題目】原著論文「行動変容法を用いた飼育下ユメゴンドウにおける攻撃行動の抑制の一例」
【掲載誌】動物園水族館雑誌第63巻3号, 42–50, 2021

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ミナミバンドウイルカの消化速度に関する論文が掲載されました!

ミナミバンドウイルカはインド洋から太平洋などの温暖な沿岸域に生息する小型のハクジラ類で、現在国内では沖縄美ら海水族館でのみ飼育されています。
今回、近畿大学と(一財)沖縄美ら島財団は、飼育下のミナミバンドウイルカの餌の消化管通過速度(消化速度)に関する研究を共同で実施しました。
対象個体に給餌する際、天然由来のカルミン色素を入れた餌を与え、色のついた糞の排泄が確認されるまでの時間を記録しました。その結果、給餌から着色糞が観察されるまでの時間は平均254±20.4分で、ミナミバンドウイルカは摂餌から最短で4時間から6時間程度で排泄することが示唆されました。
本研究成果は、野生のミナミバンドウイルカの摂餌時間帯や行動生態を解明する上で大変重要な知見となりました。

【著者名】Rikiya Takahashi, Nozomi Kobayashi, Suguru Higa, Mai Sakai (太字:財団職員)
【題名】The Passage Time of Prey Through the Digestive Tract of Indo-Pacific Bottlenose Dolphin (Tursiops aduncus)
【雑誌名】Japanese Journal of Zoo and Wildlife Medicine

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タイマイの攻撃行動の抑制に関する論文が掲載されました!

飼育下のタイマイでは個体間の闘争が問題となり、攻撃による受傷部位が悪化し重篤な感染症を引き起こす可能性もあります。
本研究では、タイマイの攻撃的な行動を抑制できるかどうかを評価するために、(1)1頭で飼育、(2)岩を設置および(3)未設置時の水槽で2頭飼育した場合における攻撃行動、静止時間および血清中コルチコステロン濃度を測定しました。
本研究の結果から、岩設置時の攻撃行動は岩未設置時よりも有意に少なく、さらに静止時間について、岩設置時の方が有意に長くなりました。このことから、水槽内へ岩を設置することにより、タイマイの他個体への攻撃性や干渉は効果的に抑制できることが明らかとなりました。

【著者名】Isao Kawazu, Miwa Suzuki, Konomi Maeda (太字:財団職員)
【題名】Rock installation reduces aggressive behavior in captive hawksbill turtles
【雑誌名】Current Herpetology

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2021年

水族館職員が第47回海獣技術者研究会にてベストプレゼンテーション賞を受賞

オキゴンドウの精液性状と血清中テストステロン濃度の長期的なモニタリングを行った結果を、第47回海獣技術者研究会にて発表し、その内容および発表が優れていると評価されました。

【受賞日】2021年11月25日
【発表者】比嘉克、小俣万里子、中村美里、植田啓一、河津勲

AI技術を用いたザトウクジラの尾びれ自動識別システムを開発。数千頭分の尾びれを一挙に識別することに成功!

沖縄美ら海水族館を管理運営する沖縄美ら島財団は、Diagence社、大阪大学、慶応義塾大学と共同で、ザトウクジラの尾びれ識別作業の効率化を目的に、尾びれを自動で識別できるAI技術および自動識別システムの開発を実施、成功しました。
本システムの開発により、これまで膨大な時間と労力を要してきた尾びれ識別作業の効率が飛躍的に向上することが期待されます。
当財団は、今後このシステムを活用しながら国内外の研究機関と協力し、季節によって北太平洋を広く回遊するザトウクジラの集団構造や回遊経路の解明を目指します。

【著者名】Yoshikawa T, Hida M, Lee C, Okabe H, Kobayashi N, Ozawa S, Saito H, Kan M, Date S, Shimojo S (太字:財団職員).
【題 名】Identification of over one thousand individual wild humpback whales using fluke photos.
【雑誌名】Proceedings of the 17th International Joint Conference on Computer Vision, Imaging and Computer Graphics Theory and Applications. 4: ISBN 978-989-758-555-5, ISSN 2184-4321, 957-967.

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沖縄島近海で初記録となるタイの仲間「ホシレンコ」の確認を報告!

2020年2月に沖縄島読谷村の沖で漁獲されたタイが、これまで奄美大島近海からしか見つかっていなかった珍しいタイの仲間「ホシレンコ」であることを、当財団スタッフを含む研究チームが報告しました。ホシレンコはマダイによく似ていていますが、背鰭前方が糸状に伸長する点で異なります。今回報告された個体は全長60cm近い大型個体で、卵を持っていたことから、産卵を控えたメスと考えられています。
今後、ホシレンコの更なる情報を蓄積することで、その謎に満ちた生態の解明を目指します。

【著者名】福地伊芙映・宮本 圭・田中文也・立原一憲(太字:財団職員)
【題 名】沖縄島から得られたタイ科ホシレンコの記録とその生殖腺の組織学的観察による知見
【雑誌名】Ichyhy

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ユメゴンドウの攻撃行動の抑制に関する論文が掲載されました!

野生のユメゴンドウは、他のイルカに対して攻撃的だと言われており、飼育下でも同様で、同じ水槽内で飼育する他個体やトレーナーへの攻撃行動が頻発し、他個体との社会行動がほとんど観察されない等の問題がありました。
沖縄美ら海水族館では、他のイルカとの社会行動を促すため、ヒトの心理療法としても用いられる行動変容法に基づき、攻撃行動の抑制に取り組みました。
その結果、攻撃行動を示さなかった場合にのみ遊具を投入することを反復することよって、攻撃行動は明らかに減少し、他個体との社会行動が増加しました。

【著者名】瀬戸沙也加,比嘉 克,河津 勲(すべて財団職員)
【題名】行動変容法を用いた飼育下ユメゴンドウにおける攻撃行動の抑制の一例
【雑誌名】動物園水族館雑誌

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沖縄県国頭村近海で採集された全長1.7mの巨大なウミヘビが、日本初記録の種であることを明らかにし、新和名を提唱した論文が掲載されました!

2021年3月30日、国頭村奥間にて種類が判別できない巨大なウミヘビが採集されました。外部形態の確認とミトコンドリア遺伝子の解析を行ったところ、日本初記録のHydrophis stokesiiであることが明らかとなりました。

【著者名】Takahide Sasai,Takumi Yamamoto, Shinichiro Oka, Mamoru Toda (太字:財団職員)
【題名】Addition of the Sea Snake, Hydrophis stokesii (Squamata: E lapidae) to the Herpetofauna of Japan
【雑誌名】Current Herpetology

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沖縄島近海に生息するウミガメの海洋ゴミ摂食状況に関する論文が掲載されました!

海洋生物に対する海洋ゴミの影響は、世界各地から報告されています。沖縄美ら海水族館を管理運営する沖縄美ら島財団は、1990年から2019年の約30年間、沖縄島の沿岸に死亡漂着したウミガメ484個体の消化管を解剖し、内容物の分析を行ってきました。

【著者名】Takahide Sasai, Masakatsu Kino, Kei Miyamoto, Haruna Okabe, Konomi Maeda, Shingo Fukada, Ken Maeda, Nozomi Kobayashi, Takahiro Kobuchi, Masae Makabe, Isao Kawazu
【題名】Evaluation of Marine Debris Ingestion in Sea Turtles around Okinawa Island, Japan.
【雑誌名】Marine Turtle Newsletter

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海洋博公園に生息するヤシガニの成長と生息数を明らかにしました

ヤシガニはインド・太平洋の熱帯から亜熱帯域に生息する陸棲最大の甲殻類で、現在は乱獲や生息地の消失などで世界的に減少しています。
当財団では2006年から海洋博公園に生息するヤシガニの生態調査を行っており、今回の研究では2019年までの14年間、350回以上の追跡調査によって得られた506組の再捕獲データを解析し、ヤシガニの成長と生息数を明らかにしました。

【著者名】岡慎一郎徳武浩司、井上忠信 (太字は財団職員)
【論文タイトル】Growth analysis and population size estimation of coconut crabs based on a large recapture dataset
【雑誌名】Crustacean Research (DOI:10.18353/crustacea.50.0_145)

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飼育下におけるマダライルカの妊娠と出産に関する論文が掲載されました!

マダライルカは世界中の熱帯および亜熱帯の海域に生息し、水族館等での飼育例が少ない種類です。沖縄美ら海水族館では、2017年3月31日に飼育下でのマダライルカの繁殖に世界で初めて成功しました。
今回の繁殖成功によって、妊娠期間352日であることや妊娠中のプロゲステロン(女性ホルモン)の変動を明らかにしました。さらに、分娩時間は9.5時間であることや、初めて授乳するまでは4時間かかることが明らかになりました。
本研究の成果は、マダライルカの繁殖プログラムに寄与することが期待されます。

【著者名】Shunya Ikeshima, Suguru Higa, Yuuta Mitani, Mariko Omata, Nozomi Kobayashi, Keiichi Ueda, Isao Kawazu
【題名】First Observation of Pregnancy and Parturition in a Captive Pantropical Spotted Dolphin (Stenella attenuata)
【雑誌名】Mammal Study

ジンベエザメの専門書籍「WHALE SHARKS」が出版されました

ジンベエザメの生態や保全に関する最新の研究成果がまとめられた本、「WHALE SHARKS –Biology, Ecology, and Conservation–」(英語)がアメリカのCRC Pressより出版されました。
一般財団法人 沖縄美ら島財団が管理運営する沖縄美ら海水族館の職員が著者に加わり、ジンベエザメの生態に関する調査や研究の成果を紹介しています。特に、同館の動物健康管理で培った、水中での超音波画像診断や血液分析などによる生理や繁殖に関わる知見は、本種の生態解明や保全の取り組みに不可欠な情報を提供しています。また、本書の各章では、ジンベエザメの成長、代謝、回遊生態、行動、生理や機能解剖学など、あらゆる生物学的分野を網羅的に参照できるようまとめられており、一般の読者から、将来の研究者や保全関係者、資源管理の担当者など、広範囲な読者を対象とする書籍になっています。
当館では引き続き、本種の飼育や調査、研究を通し、世界の研究機関と協力して、さらなる生態の解明に取り組んでいきます。

【代表著者】Alistair D.M. Dove, Simon J. Pierce
○第2章:Whale Shark Reproduction, Growth, and Demography.
S.J. Pierce, S.A. Pardo, C.A. Rohner, R. Matsumoto, K. Murakumo, R. Nozu, A.D.M. Dove. (太字:財団職員)

○第9章:Lessons from Care of Whale Sharks in Public Aquariums.
A.D.M. Dove, R. Matsumoto, C. Schreiber, K. Murakumo, C. Coco, M. Yanagisawa, T. Clauss, L. Hoopes, K. Sato.
(太字:財団職員)

○第13章:Outstanding Questions in Whale Shark Research and Conservation.
全著者による執筆(財団職員含む)

【題名】WHALE SHARKS
Biology, Ecology, and Conservation

【出版社】CRC Press

書籍リンク

希少な鯨類「タイヘイヨウアカボウモドキ」の沖縄3例目の漂着が確認されました!

2021年8月6日、沖縄県北谷町の宮城海岸に大型の鯨類が死亡漂着しているのが発見されました。当財団の過去の研究結果(Kobayashi et al. 2021a; 2021b)をもとに調査したところ、外見および骨格等の特徴から「タイヘイヨウアカボウモドキ」という世界でも過去に20例程しか漂着例のない希少なクジラであることがわかりました。この個体は、体長約5mの若いオスで、国内では鹿児島、北海道に次ぐ5例目、沖縄県内では、2011年、2020年に次ぐ3例目の漂着となりました。
タイヘイヨウアカボウモドキの詳しい生息域や生態はまだ明らかになっておらず、国内では沖縄県内でのみ複数の漂着例が報告されています。当財団では、今後、北谷町や国内外の研究機関と協力して、胃内容物やDNA関連の調査も含め、より詳細な調査、研究を実施する予定です。

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那覇空港に漂着したマッコウクジラに関する研究発表が優秀賞を受賞!

2020年11月26日に那覇空港の連絡誘導路北側の浅瀬にマッコウクジラが死亡漂着しているのが発見されました。マッコウクジラは世界中の海洋に広く分布しており、成熟すると体長は雄で19m、雌で12mに達する大型鯨類です。
今回の事例では、漂着現場の状況や空港の運用制限により、漂着直後に現場での解体作業や重機等を用いた処理が困難であったことから、一定の観察期間を設けた後に、空港敷地内へ埋設処理を実施することとなりました。
当財団では、関係各所と協力して、漂着発見から約2ヶ月間におよぶ鯨体の腐敗状況の観察から埋設処理に至るまでの詳細について調査を実施し、その結果を「令和3年度 沖縄ブロック国土交通研究会」で発表しました。これまで、鯨体放置過程における長期観察結果の詳細とそれに伴う処理方法は報告された事例はなく、本発表は優秀賞(イノベーション部門)を受賞しました。当財団では、今後も鯨類の保全と地域貢献を目的に、海洋生物に関する調査研究を実施していきます。

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沖縄島におけるタイマイの産卵状況に関する論文が掲載されました!

タイマイは世界中の亜熱帯から熱帯地方のサンゴ礁域に分布するウミガメの仲間です。
このウミガメは,産卵場の消失や漁業での混獲などの要因によって減少し,IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにおいて絶滅危惧IA類に指定される等、非常に絶滅が危惧されています。
沖縄美ら海水族館を管理運営する沖縄美ら島財団では,沖縄島でウミガメの保護活動を行っている方々と連携し、沖縄島で産卵するタイマイの保全のため,1987年から2017年の産卵状況を明らかにしました。
タイマイの産卵は、沖縄県の大宜味村や本部町等の11砂浜において7月をピークに28産卵巣が確認されました。
沖縄島の産卵個体群は小規模であることから、法律による捕獲規制や産卵場である砂浜を守る等、まだまだ保全の強化が必要と考えられました。

【著者名】Isao Kawazu, Kunio Komesu, Muneyuki Kayou, Takashi Inoue,Masakatsu Kino, Konomi Maeda, Shingo Fukada. (太字:財団職員)
【題名】Nesting and reproductive ecology of the hawksbill turtle, Eretmochelys imbricata (Reptilia: Cheloniidae), on Okinawajima Island, Japan
【雑誌名】The Biological magazine Okinawa(沖縄生物学会誌)

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吸引した空気で浮かぶ?ジンベエザメの垂直採餌の仕組みに新説

ジンベエザメは全長12メートル以上になる最大の魚類です。このサメはプランクトンを主食としますが、その摂食行動は非常に複雑であることが知られています。中でも特徴的な行動に垂直採餌があります。ジンベエザメは口を水面に向けて垂直に立ち、水面に浮かぶプランクトンを吸い込んで食べます。
垂直採餌の謎のひとつは、サメの体は一般的に水より比重が重たいにも関わらず、採餌中に沈んでしまわないことです。しかも、採餌中は尾鰭の動きを完全に止めて水面に浮かんでいるように見えることがあります。
本研究では、沖縄美ら海水族館で飼育されている二頭のジンベエザメの体積と比重を推定し、水中での重さを計算しました。その結果を踏まえ、垂直採餌中に吸い込む空気が口腔や鰓腔に滞留し、その空気の浮力によってジンベエザメは水面に浮かんでいるとの仮説を提唱しました。つまり、ジンベエザメは、吸い込んだ空気によって楽をしながら餌を食べていると考えられます。

【著者名】Taketeru Tomita, Minoru Toda, Kiyomi Murakumo, Kei Miyamoto, Rui Matsumoto,
Keiichi Ueda, Keiichi Sato (すべて財団職員)
【題名】Volume of the whale shark and their mechanism of vertical feeding
【雑誌名】Zoology

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ザトウクジラの沖縄とフィリピンの海域間交流に関する論文が掲載されました!

北太平洋のザトウクジラは、夏にロシアやアラスカなどの高緯度海域で摂餌を行い、冬に沖縄やフィリピンなどの低緯度海域で交尾や出産、子育てを行います。また、ザトウクジラは尾びれの特徴から個体を識別することが可能です。当財団では、この特徴をもとに、フィリピンの研究組織(BALYENA.ORG)と共同で調査を行い、2海域間のザトウクジラの交流(行き来)について明らかにし、国際学術誌に報告しました。

【著者名】Acebes J. M. V, Okabe H, Kobayashi N,Nakagun S, Sakamoto T, Hirney B, Higashi N, Uchida S. (太字:財団職員)
【題名】Interchange and movements of humpback whales (Megaptera novaeangliae) between western North Pacific winter breeding grounds in northern Luzon, Philippines and Okinawa, Japan
【雑誌名】Journal of cetacean research and management

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希少なクジラ「タイヘイヨウアカボウモドキ」の沖縄初記録に関する論文が掲載されました!

2011年7月30日、沖縄県うるま市の浮原島の海岸に見慣れないクジラが死亡漂着しているのが発見されました。当財団と国立研究開発法人水産研究・教育機構と共同で、外見や骨格の特徴、DNA(遺伝的情報)を用いた分析を行ったところ、このクジラは「タイヘイヨウアカボウモドキ」という、世界的にも極めて珍しい種であることが判明しました。この個体は、体長4.8mの若いオスで、国内では鹿児島、北海道に次ぐ3例目、沖縄では初の漂着報告となり、本個体の生物学的知見が国際学術誌に掲載されました。
当財団では、本個体の全身骨格標本を作製し、沖縄美ら海水族館「美ら海プラザ」にて展示中です。

【著者名】Nozomi Kobayashi, Koji Tokutake, Hideyoshi Yoshida, Haruna Okabe, Kei Miyamoto, Haruka Ito, Naoto Higashi, Shingo Fukada, Kei Yamazaki, Suguru Higa, Isao Kawazu, Keiichi Ueda (太字:財団職員)
【題名】The First Stranding Record of Longman’s Beaked Whale (Indopacetus pacificus) in Okinawa, Japan.
【雑誌名】Aquatic Mammals

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硬さは鋼鉄級!ヤシガニのハサミの微細構造を解明しました

陸上最大の甲殻類であるヤシガニは体重の100倍近い挟む力を発揮します。その巨大な力に耐えるハサミの殻の秘密を解明するため、物質・材料研究機構(NIMS)と当財団は、最新機器を用いて微細構造を解明しました。

【著者名】Tadanobu INOUE, Shin-ichiro OKA, Toru HARA  (太字:財団職員)
【題名】Three-dimensional microstructure of robust claw of coconut crab, one of the largest terrestrial crustaceans
【雑誌名】Materials & Design

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絶滅危惧の固有種ヒョウモンドジョウの遺伝的特性を明らかにしました。

ヒョウモンドジョウは世界でも琉球列島のみに分布する固有種です。近年は生息環境の悪化により激減しており、2020年には沖縄県指定希少野生動物となり、無許可での捕獲等が禁止されました。当財団は、琉球大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、名護博物館の研究者とともに、本種の野生群の遺伝的多様性に関する調査を実施しました。

【著者名】岡慎一郎笹井隆秀花原望宮本圭、小林大純、村田尚史、前田健 (太字は財団職員)
【題名】沖縄県におけるヒョウモンドジョウの遺伝的特性
【雑誌名】Fauna Ryukyuana

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世界初発見!希少なクジラ「タイヘイヨウアカボウモドキ」の新生児発見に関する論文が掲載されました。

2020年7月13日、沖縄県宮古島市の海岸にタイヘイヨウアカボウモドキの新生児が死亡した状態で漂着しているのが発見され、この報告が学術誌Marine Biodiversity Records に掲載されました。タイヘイヨウアカボウモドキは、世界的にも目撃例の極めて少ない大変珍しいハクジラ類の一種です。これまでの研究から最大体長が6m前後であることが報告されていましたが、出生時の体長については明らかにされていませんでした。今回宮古島に漂着した個体は、体長2.35mのメスの個体で、体表面には生後数週間の個体にのみ確認できる在胎痕(胎児が母体内で体を折り曲げているために残る体表面のシワ)が残っていました。このことから、この個体は生後数週間以内の個体である可能性が高く、またタイヘイヨウアカボウモドキが沖縄周辺海域で繁殖、出産をしている可能性が強く示唆されました。本報告は、謎に包まれた本種の生態を明らかにする上で大変貴重な報告となりました。

【著者名】Nozomi Kobayashi, Sachie Ozawa, Nozomi Hanahara, Koji Tokutake, Takaaki Kaneshi, Ken Inoue, Haruna Okabe, Kei Miyamoto, Keiichi Ueda (太字:財団職員)
【題名】The first record of a Longman’s beaked whale (Indopacetus pacificus) newborn neonate found on Miyako Island, Okinawa, Japan
【雑誌名】Marine Biodiversity Records

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DNAによる稚魚の同定方法に関する論文が掲載されました

沖縄美ら島財団は、DNA解析を用いて、複数のハゼ類の同定に成功しました。ハゼの仲間は世界では2000種以上が知られる非常に多様なグループです。ハゼ類の稚魚は従来の形態学的方法では種同定が難しく、研究の障壁になっていました。
本研究では、ハゼ類の稚魚標本のDNA解析を行い、これまで稚魚の形態が明らかになっていなかった8種を含む13種の同定に成功しました。さらに、DNA解析が困難なホルマリン固定標本でも一定の条件を満たせば解析できる手法を示しました。この手法は、今後の生態系や初期生態の詳細な把握に貢献できると考えられます。

【著者名】Nozomi Hanahara, Kei Miyamoto, Shin‑ichiro Oka (すべて当財団職員)
【題名】Morphological and genetic identification of formalin‑fixed gobioid larvae and description of postflexion larvae of Paragunnellichthys sp. and Ctenogobiops feroculus
【雑誌名】Ichthyological Research

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メガマウスザメは生物発光しないことを立証する研究結果を公表しました

メガマウスザメは20世紀に発見されたサメの中で最も謎が多いサメの一種です。本種の生態については、プランクトンを主に捕食する“ろ過採食”であることが知られていますが、摂餌のメカニズムについては不明とされています。過去の研究では、上顎に顕著な白色帯をもつことに由来する「発光ルアー仮説」や、摂餌時にエサ生物の発光を反射する仮説が存在しますが、長い間その証拠は見出されていません。本研究は、ベルギーのルーバンカトリック大学の研究チームと共同で、メガマウスザメの生物発光に関するこれら仮説の再検証を行いました。
組織学的アプローチ(組織切片、蛍光in situハイブリダイゼーション、走査型電子顕微鏡)および分光光度法による観察の結果、本種は生物発光の機能を有する器官をもたない(発光生物ではない)ことが判明しました。また、口の中や白色帯に存在する細かな楯鱗(サメ肌)には様々な形状が存在し、がプランクトンの発する生物発光を反射する可能性があることが明らかになりました。
本種が“発光する”と考えられてきた要因として、人工的な照明やエサ生物の発光が楯鱗に反射し、発光しているように見えた様子を、ダイバーらが偶然目撃したことが原因ではないかと結論付けました。

【著者名】Laurent Duchatelet, Victoria C. Moris, Taketeru Tomita, Jacques Mahillon, Keiichi Sato, Catherine Behets, Jerome Mallefet(太字:財団職員)
【題名】The megamouth shark, Megachasma pelagios, is not a luminous species.
【雑誌名】PLoS ONE

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