【セミエビの脱皮殻を観察してみよう!】

みなさん、はいさい!解説員Mです。
先日、朝一のイセエビ水槽にてこんな光景が・・・

水槽の奥でセミエビがひっくり返っていました!!
一瞬ヒヤッとしましたが脱皮殻でした~。左手前で休んでいるサツマカサゴが第一発見者です。
大人のセミエビであれば脱皮は年に一回程度ですので、脱皮殻を水槽内で目にすることはほとんどありません。
 
では、せっかくなので脱皮殻を使ってセミエビの体をじっくり観察してみましょう!

何て鮮やかな赤なんでしょう。水中で見るのとでは色の見え方も違うんですねぇ。
まるで生きているかのように体の隅々まできれいに脱皮しています。


体の真ん中部分に大きな空洞があります。体を「への字」に曲げてここから新しい体が出てきます。それにしても甲らが鎧のようにとても硬いです。ゴツゴツとした岩場の隙間で生活するうえでは、体に傷が付かないよう、この甲らがきっと役立つのでしょう。


腹側には5対の脚が並んでおり、頭の方から数えて5番目の脚の先端で雌雄を見分けることができます。
この脚の先端が二股に分かれていれば雌で、分かれていなければ雄です(体の小さな個体では、この特徴が出ない場合がある)。先端が分かれていないので、今回の個体は雄という事が分かりました。次は目を観察してみましょう。


丸みを帯びた突起部分に覆われた茶色い小さな目がありました。眼に光を当てると琥珀色に輝くキレイな目をしていました。
 
では次は頭の方に注目してみましょう。
おや?私が触っている部分がスライドし、下側に収容しました。



ここは本来、第2触角にあたる部分ですが、岩陰などに潜りこみやすいよう、この形に変化したと考えられます。触角と聞くと、細長いムチの様な形をイメージする方も多いかもしれませんがこんなケースもあります。
 
さらにもう1つ、頭の先に第1触角と呼ばれる短い触角があるので見てみましょう。

2対の触覚はオレンジ色と紫色の2色で彩られており、先端が二股に分かれてます。
さらに近くで見てみると…

細かい毛が生えています!!これは嗅毛(きゅうもう)といって、匂いを感知する役割があります。ここで再度、全体的に体をよく観察してみた所、体表に細かい毛が生えていました。
例えば、こちらは脚。


こちらは背面。

体毛の役割はハッキリと言い切ることはできませんが、人間と同じように体を保護する目的や、体の掃除をするためのブラシとして機能する場合があります。
 
みなさん、セミエビの脱皮殻観察はいかがでしたか?今回を機に私はエビの事をもっともっと知りたくなりました。是非水族館へお越しの際は、ガラス越しでは分からない生き物の生態について私たち解説員に質問してくださいね!
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